第35回研究会の様子.jpg

第35回定例研究会
2009年12月16日(水)18:30〜20:30
和食居酒屋「咲くら」お茶の水店
参加者30名

年末恒例の忘年会を兼ねた研究会でした。今年は「トイレ」をテーマに8名の方に「私の見つけたユニバーサルデザイン」を発表いただき、その内容をTOTOの賀来尚孝さん、鈴木昭子さんに審査員 として評価いただきました。以下が順位と評価コメントです。

1位 有限会社アトリエ貘 稲田信之氏 「神戸そごうのトイレ」「横浜市営地下鉄のトイレ」

「ユニバーサルデザインとしてほぼ完璧、細かな配慮が行き届いている」

2位 萩野美由紀氏(原さん代理発表) 「スウェーデンのトイレ」「モントリオールのトイレ

「木を使っているところが良い」

3位 井上眼科病院 板谷真平氏 「三井アウトレットパークのトイレ」

「子供配慮が非常に行き届いている」

その他の発表者と内容は以下の通りです(発表順)。

井上眼科病院 柴田拓也氏 「災害時に使用する簡易トイレ」
株式会社大活字 市橋竜正氏 「トイレ便房内用音声情報案内装置ポッチ」
神尾記念病院 奥山健治氏 「成田エクスプレスのトイレ」
井上眼科病院 川添賢志氏 「京王デパートのトイレ」
柏瀬眼科 柏瀬光寿氏 「黒いトイレットペーパー」

皆さん熱のこもった発表をされていたことが強く印象に残りました。

今年も大変楽しい忘年会となりました。来年も皆さんと研究会で活動できることを楽しみにして おります。

(パワープレイス株式会社 間瀬樹省)

第34回研究会の様子.jpg

第34回定例研究会
2009年11月25日(水)18:30〜20:00
井上眼科病院18階会議室
参加者61名

テーマ「加齢黄斑変性のクオリティオブライフとロービジョンケア」
 講師 駿河台日本大学病院 藤田京子氏

藤田先生が研究されてきた加齢黄斑変性について、疾患の概要とQOL(クオリティオブライフ)、そしてロービジョンケアと今後の展望についてのご紹介がありました。
加齢黄斑変性は、目の黄斑部の網膜が枯れていく「萎縮型」と脈絡膜新生血管(血液成分が漏出しやすく破綻しやすい)ができてしまう「滲出型」有無によって分類されます。日本人には「滲出型」が多く、進行は急激で治療法はあるものの完治は困難です。抗血管内皮増殖因子薬を注射する方法が有力であるが、治療が高額で効かない人もいる点が問題があります。
加齢黄斑変性は視野の中央が見えなくなるので、見たいところが見えにくくなります。英国で開発された質問表で日常動作について調査すると、周辺視野があるので歩行などには問題が少ないが、新聞や手紙を読むことなどに困難を感じていることがわかります。
読書等の困難を克服方法は、ロービジョンケアによることになります。一般的には拡大鏡等の使用になり、このようなケアはQOL向上に役立つことが調査でも確認されました。今後、理工系や心理系など他分野とのコラボレーションを進めることで、見え方をシミュレーションする方法や信頼性の高い評価法、ゆがみを測定してそれを補正する方法などの開発が望まれます。また、原因の究明や予防などが進むことも必要であるとのことでした。

(パワープレイス株式会社 間瀬樹省)

第33回研究会の様子.jpg

第33回定例研究会
2009年10月28日(金)18:3020:00
井上眼科病院18階会議室
参加者 44名

テーマ「病院のバリアフリー設計指針」
講師 MORO設計監理室 毛呂正俊氏

前半は、事前に配布された資料「国立病院バリアフリー設計指針」を元に、内容の説明をしていただき、後半は、いつもとは少し違った進め方で、パネルディスカッション方式で進められました。

■前半
今回の目的:結果的に内部の資料になってしまった「病院のバリアフリー設計指針」(2001年作成)を今のニーズにあった「医療福祉施設ユニバーサルデザイン設計指針」として、お茶の水UD研究会で作りたい。

資料内容:(個人的に印象に残った内容を記載)
・ 病院は他の建物と比べても高齢者や障害を持つ人々の利用率が高いので、当然バリアをなくすべきである。しかも、暖かみがあるさりげない配慮が求められる。
・ 2001年に作成されたものなので、車椅子使用者が中心となっており、今後は視覚障害者等、他の障害についても検討の余地がある。
・ 設計指針については、具体的な寸法が書いてあるものに対して、その寸法が一人歩きしないように、なぜその寸法が必要なのか?という理由について補足を記載しているのが特徴。

■後半
Q.柏瀬氏(医者の立場から)
 利用者からの視点での指針だと思うが、看護婦や医者の視点はどう配慮しているか。
A.毛呂氏
 基本設計でバリアフリーの項目をつくっておき、実施設計に入る前に施主に説明するように 
 心がけている。

□桑波田氏(インテリア設計の立場から);
・設計指針はこうしなさいというものではなく、なぜそうなのかという事の方が大切なのではないか。
・成功事例や、最新の事例等を載せるのもいいのではないか。
・椅子やベット、ベンチ等、の指針までできるといいのではないか。

□その他の意見:
・待合室や、病室の天井など、もっとソフト面も考えて設計できるといいのではないか。
(ホテルに近いもの等)
・サイン計画についての指針も今後紹介していただきたい。

■感想
色々な業種の方が出席しているので、
様々な立場の方が意見交換することは、とても有意義で、良い機会だと感じました。
今後も活発な意見交換をして、「医療福祉施設ユニバーサルデザイン設計指針」が出来ることを期待します。

(株式会社今井建築設計事務所 磯村舞)

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32
回定例研究会
2009
9
30
日(水)
18
30
20
00
井上眼科病院18階会議室
参加者
34


テーマ「高齢者・視覚障害者用LRD音響ポールの実用化について」

講師 神奈川県総合リハビリテーションセンター 柳原 崇男氏
視覚障害者は信号のある交差点で危険を感じている人が多いが、視覚障害者用道路横断帯(エスコートゾーン)等の歩行支援システムは十分普及していないことから、信号交差点の安全性向上を目的として開発された「高齢者・視覚障害者用LED付き音響ポール」。歩行者が横断歩道手前で信号を確認できるように、人の胸ほどの高さの黄色いゴム製ポールに
LED
表示と誘導音鳴動機能を組み込んだその装置を会場に展示しながら、実用化に向けての検証過程について話をしていただきました。
知覚機能を通じて人が外界から受ける情報量は視覚が83%であり、ロービジョン者も歩行中、触覚・聴覚・視覚の内、50%近くを視覚に頼っていること。そして、道路横断の際、信号の状態がわからず困る人、他者に追従して危険を感じている人も少なくないということ。視覚障害者にとっては、片側1車線程度(約6
m
)であっても、4割近くの人が信号をはっきり視認できないこと。そして、9割近くの視力障害者及び高齢者が
LED
ポールの設置により歩行時の安全性が向上すると評価したことが、盲学校内での視認性調査・アンケート調査により確認でき、この
LED
ポールが有用であることが検証されたとのお話しでした。
歩行者用信号機の改良、エスコートゾーンや
PICS
等の横断支援システム、信号機設置場所の検討等、高齢者や視覚障害者が安全に横断歩道を渡れるように支援する取組を外国事例を交えながら紹介していただき、大阪で試みられている
LED
ポールの実用化に向けての検証について話をしていただきましたが、色やデザインは別として(大阪では既に先行して黄色のポールが設置されている所があり、それがベースになっているとのことでした)、この様なシステムが普及すれば、単に視覚障害者や高齢者だけでなく、一般の人、特に子供達にも安全で便利になるだろうと感じました。
(MORO設計監理室 毛呂正俊)
第31回研究会の様子.jpg

第31回定例研究会
2009年8月26日(水)18:30〜20:00
井上眼科病院18階会議室
参加者42名

テーマ「出版のユニバーサルデザイン」 〜読むこと生きること〜
講師 株式会社大活字 市橋竜正氏

「読書権」。「大活字本」。どちらも耳慣れない言葉でスタートした今回の講義は、「出版のユニバーサルデザイン」をテーマに、大活字本の歴史や弱視者の生活の実態・思いがわかるお話をしていただきました。
“「読書権」は基本的人権のひとつであり、①何よりも知識や豊かな心は幼児期からの読書体験が重要、②点字・音声等との併用により、出版・読書・生活のUDが実現し全ての人にとって豊かな暮らしやすい社会の形成につながる”、という考え方とのことです。
大活字本の出版は、弱視者等の「寝転がって」、「電車の中で」、本を読みたい、という思いを実現すべく、著作権切れの文庫本(1冊は分冊3冊に)や教科書の一部を中心に出版されているそうです。点字本と違い公的助成がなく、購入費助成制度制定の署名活動にも力を入れているとのことでした。また、著作権問題から出版できる本が限られるため、他の出版社との取り組みも始めたそうです。同じ本で文字のサイズ・本のサイズの違う3タイプの大活字本を実際に見せていただきましたが、高齢者にはとても読みやすいだろうと思われました。
合わせて、生活のUDとして使いやすいと思う商品の紹介を「ドリーム大活字」という店舗で展開、月2点は新しく見つけようと日々探しているとのことです。実際に商品を使われている店長の藤沢氏より使い勝手につい説明していただきました。ヒット商品は、白黒反転カレンダーだそうです。本当にわずかな心遣いで使いやすさが大きく違うということを実感できました。
まだまだ認知度が低いと思われる大活字本ですが、より多くの方々にとって読みやすい書籍として普及されることを期待します。

(株式会社コトブキ 黒田裕子)

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第30回定例研究会
2009年7月22日(水)18:30〜20:00
井上眼科病院18階会議室
参加者45名

テーマ「見える感動もユニバーサル!」
講師 朝倉メガネ 山中幸宏氏

 視力が0.01しかない方にも見える感動を提供したいという思いで取り組んでいるそうで、「0.1しか見えなくなってしまった」でなく、「0.1の視力で見て判断できる環境を整える」ことで、新聞を読み趣味を続けることができるようになるそうです。見ることをあきらめていた方が、自分で見て読める感動に出会うと、ご自身も大きな喜びを感じられるとのことでした。
 見る機能が低下してしまった方は、見ることをあきらめてしまっている方が多いようです。その方々に、見ることを助ける用具として拡大鏡や拡大読書器、遮光眼鏡などを適切な指導とともに提供すると、見えなかったものが見えるようになることで気持ちも前向きになり、生活の質が間違いなく高まるのだそうです。
 このような用具の存在が知られていなかったり、適切に使用されていないというのが実態のようですが、空間整備とこのようなケアの実施の両方が大切であると強く感じました。また、山中さんがご自身の仕事に誇りを持ち、ケアをすることで喜んでもらえることにご自身も喜びを強く感じていることが伝わってまいりました。

(パワープレイス株式会社 間瀬樹省)

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第29回定例研究会
2009年6月24日(水)18:30〜20:00
井上眼科病院18階会議室
参加者35名

テーマ「視覚障害者の触知の世界 〜触図を通して考える〜」
講師 日本点字図書館 ユニバーサルデザイン推進室 和田勉氏

今回は、視覚障害の方が利用する点字サインや触図などについて、触ることで伝えるための方法や、触知に関するJIS化や研究の動き等について詳しくお話していただきました。
駅や施設を案内する触知図は普段よく見かけますが、視覚障害の方が触ってわかるかというと、困難なものが多いそうです。立方体の透視図が立体印刷された触図を体験させてもらいましたが、触るだけでは何が描かれているのか分かりませんでした。視覚的な表現を用いた図を、安易に触覚的に伝えようとしても困難だということを、体験的に理解することが出来ました。
触図を作る際は、細かな表現をしないこと、図に過度な期待をしないこと、言葉が重要な手掛かりになること等の注意点がありますが、触図によって、効率よく情報が入手できることや、歩行に必要な能力を育てることができる等、大きなメリットがあるというお話でした。
視覚の代行手段として触知分野の研究が進み、点字や触知案内図、包装用品の種別、家電操作部等でJIS化が進んでいます。触知の世界がますます広がっていくように、強く期待しています。

(株式会社クワハタデザインオフィス 桑波田謙)

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第28回定例研究会
2009年5月27日(水)18:30〜20:00
井上眼科病院18階会議室
参加者45名

テーマ「ユニバーサルデザインの考え方に基づくまちつくり」
 講師 首都大学東京 教授 秋山哲男氏

今回は、ユニバーサルデザインの歴史から、現在に至るまでのバリアフリー新法についてと、バリアフリー新法を取り入れた「まちづくり」についての講演でした。
「まちづくり」では、2006年12月20日施行された、「高齢者、障害者の移動等の円滑化の促進に関する法律」バリアフリー新法を主に、交通バリアフリーについて取り組まれたことでした。
道路のバリアフリーでは、歩行空間のネットワークとして駅前周辺が整備されスムーズに移動できるイメージをして、その移動の手段を整備していく。①歩行幅員の確保が出来る歩行空間である。(2m以上)空間を確保するには、電線類の地中化や電柱・ガードレールなどを一直線にする。②歩道の勾配をなくし歩きやすくする。その為には、車道を上げ、民有地を下げる。緑端段差を1㎝にして縁石の表面勾配を10%にする。また、駅から濡れずにバスに移動できる空間づくりなどを行い「まちづくり」をされているとのことでした。また、誘導ブロックの輝度を上げる工夫や、横断歩道のエスコートゾーン、バス待合の椅子に高さの工夫などされています。
次に、視覚障害者用ブロックの景観評価の結果が発表されていました。①新設を想定した誘導ブロック②劣化した誘導ブロック③弱視配慮型誘導ブロックの3種類を3つの背景で評価したものでした。結果は②の劣化した誘導ブロックは背景性が悪かった。①の新設誘導ブロックは背景性で良かった。③の弱者配慮型ブロックは視認性も高く背景性もよかった。今回の報告は、背景3つに対しての比較評価だったが、誘導ブロックを設置する場合に背景を考慮して誰にでも利用しやすいものにするには、なかなか難しい問題があると感じます。
 
 バリアフリー新法で、色々な取り組みがされていることがよく分かりました。生活の中にも感じます。しかし、公共の施設などは使い易くなり便利になったと思いますが、「まちづくり」の観点では、まだまだ必要な場所が多くあると感じます。安全面を考えたら、歩行者が使いやすく安全であることをもっと配慮した工夫をもっと取りいれて欲しいと思います。

(井上眼科病院 飯嶋幸子)

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第27回定例研究会
2009年4月22日(水)18:30〜20:20
井上眼科病院18階会議室
参加者 40名

1.「ダイアログインインザダーク」体験報告
クワハタデザインオフィス 桑波田謙

「暗闇のエンターテイメント」といわれる〝ダイアログ・イン・ザ・ダーク〟についての体験談を紹介されました。これは、アテンド(視覚障害者)のサポートのもと、完全に光を遮断した空間の中へグループで入り、中を探検しながら様々な体験をするといったイベントです。その過程の中で、視覚以外の聴覚・触覚・臭覚・味覚など様々な感覚の可能性と心地よさに気づき、そしてコミュニケーションの大切さ、人の温かさなどを思い出させてくれる文化的なワークショップのようです。話を聴きながら、是非参加したいと思いました。

2.勉強会
「視覚障害者誘導用ブロックの現状とユニバーサルデザインについて」
日本学術振興会特別研究員 小林吉之

小林さんには、以下の項目について研究過程および成果を踏まえた講演をいただいた。

①視覚障害者誘導用ブロックについて
②ブロックが歩行に与える影響の評価
③床仕上げ材の識別容易性

先ず驚いたのは、視覚障害者誘導用ブロックが1965年に日本で開発されたことだった。今や世界に普及されているが、その形状や色、表現方法は国によって様々であり、一定の規格がないのにも驚く反面、視覚障害者が海外へ行ったときには困るのでは?と思った。小林さんの研究は、〝磁器タイル(硬い)〟〝ゴムチップ(中間)〟〝カーペット(やわらかい)〟と〝誘導用ブロック(凸凹)〟の各組み合わせで、視覚障害者にとっては何が一番安全で分かり易いかという認識度テスト(材質による弾性差や摩擦差など感触)を重ね、その成果を室内向け用として、〝御影石(つるつる)〟〝御影石(ざらざら)〟〝カーペット〟など床仕上げ材を用い研究するといったものであり、結果、かなりの成果があがったようだ。
話のまとめとしては、誘導用ブロックは車椅子の利用者には難点あるが、誘導用ブロックと各素材のそれぞれの利点を使い分けて屋外・屋内に利用し、視覚障害者にとってより一層安全で、スムースな歩行ができるようにするべきとのことだった。
小林さんの、さらなる研究成果に期待したい。

(神尾記念病院 太田正孝)

第26回定例研究会
2009年3月25日(水)18:30〜20:20
井上眼科病院18階会議室
参加者 28名


1.「院内マップのカラーユニバーサルデザイン検証」
井上眼科病院 千葉マリ 

2. 勉強会「新幹線乗り場における案内サインマニュアルについて」
?澤剛(やなぎさわごう)

今回、「新幹線乗り場における案内サインマニュアルについて」新幹線座席の指定・自由席乗客の行動パターンを分析し、いかに伝達よく案内サインを配信していくかの調査発表でした。

まず、新幹線の情報提供の課題として4つあり、(1)JR東日本管内の新幹線編成の多様性 (2)JR東日本管内の新幹線運用の多様性 (3)JR東日本管内の建築的に規模の大きな駅は改札に辿り着くのが困難 (4)案内サインマニュアルについて 以上の課題点からお客様のニーズとして時間、場所に応じたタイムリーな情報提供が必要である。

研究の進め方としてお客様・駅社員・駅現地調査をされお客様の行動パターンを調べた所、 
1ヶ月に一回以上の利用者(ヘビーユーザー)は全体の4割で自由席を利用し所要時間は10〜20分でスムーズな乗車 
1年に一回以上の利用者(ミドルユーザー)は全体の3割でグリーン席・指定席を利用し所要時間は20〜30分 
3年に一回以上の利用者(ライトユーザー)は全体の3割で指定席を利用し所要時間は50〜75分で迷われる。

現地・駅社員調査では、駅社員が必要性を感じ独自で案内サインを追加した。その中でホーム番線の正確な案内と車両乗車位置の追加案内サインが多かった。視認性・認知度検証とユーザビリティー検証をし、視覚障がい者の方も参加され利用シーンを想定して明るさなどの検証していただいたそうです。

表示スタイルの提案として、文字色の明度差、輝度、コントラスト、文字体の作成もおこなったそうです。調査・検証・東京駅新幹線案内サイン改良計画への提案結果より列車編成案内の開発をされ、液晶バネルを使い、発車時刻、編成、番線、乗車位置、併結内容、現在位置を表示しホームに上がる前に設置されたそうです。 列車編成案内の必要性についてモニター調査をされた所、8割以上の方が便利なので必要と回答いただいたそうです。

次に、試験的に開発した案内板の画面はタッチパネルになっており、希望項目をタッチすると地図が表示されるシステムになっているそうです。地図情報等メンテナンスが課題で、それらのシステム化が進めば便利な案内板となるそうです。

今回のお話しを伺って、私もライトユーザーで新幹線に乗る時は早めに到着し切符と案内板を何度も確認し、ホームに上がる時は番線を必ず確認していることを思い出しました。そして席に着くまでは間違えていないか不安です。当クリニックの患者様も久しぶりに来院されると受付・会計機の使い方を忘れたとおっしゃる方、迷われている方がいらっしゃいます。又、当クリニックでも、お茶の水駅構内(JR・千代田線)から当クリニックの受付がある19階までのアプローチについて患者様調査を行なったり、実際に職員が検証したりしました。 駅から受付、受付から会計、帰りのエレベーターと患者様が安心していただける案内サインやご案内を今まで以上に心がけていきたいと思いました。 (お茶の水・井上眼科クリニック フロア係 森 美紀)

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第25回定例研究会
2009年2月25日(水)18:30〜20:20
お茶の水・井上眼科クリニック 第1ラウンジ
参加者 72名

1.「私の見つけたユニバーサルデザイン」
井上眼科病院 南雲幹

2.勉強会
「ロービジョンケアの実際」
国立障害者リハビリテーションセンター病院 仲泊聡

 はじめに、ロービジョンとは「視覚に何らかの障害を持ち生活に支障をきたした状態」と定義してくださった上で、通常の見え方と視覚障害がある場合の様々な見え方を動画でわかりやすくシミュレーションしていただきました。それから「ロービジョンケアの6つの基本」のお話に入っていきました。

 一つ目は「ニーズの分析」。患者が何に困っているかについて、具体的・客観的に分析し、真のニーズを見極めます。その場で簡単な情報を提供することでロービジョンケア(LVC)への動機づけとなるとのことでした。
 次に、「保有視機能の再評価」。視力(書類作成用のいわゆる視力とLVCに活用する極限の中心視力)、読書速度(MNREAD-J)、視野、色覚、ERG、斜視、眼筋麻痺などの再評価です。
  参考:MNREAD-J  http://www.cis.twcu.ac.jp/~k-oda/MNREAD-J/
 三つ目に「書類の作成」。身体障害者手帳・障害年金などの申請に必要な書類を整えることです。また、四つ目は「社会資源」で、支援制度、支援施設、支援団体の活動などについての情報提供が大切とのことです。神奈川県には「神奈川ロービジョンネットワーク(KLVN)」があり、ホームページから情報を収集できるそうです。
 http://www7.ocn.ne.jp/~kanaklvn/
 五つ目は「ロービジョンエイド」です。ロービジョンエイドには拡大、遮光、照明、眼球運動訓練、便利グッズの5種類があるということと、それぞれ具体的な例を挙げていただきました。 
 そして六つ目は「環境整備」です。視覚障害者は障害を記憶でカバーしているため、基本的なこととして、物の位置を変えないのが大事だそうです。記憶を容易にすることもユニバーサルデザインではないかと思いました。
 最後に10年後のロービジョンケアについても言及されました。以下に紹介された一部と参考URLを載せます。

日本版Smart Sight
http://one.aao.org/CE/EducationalContent/Smartsight.aspx
未来型補助具(AuxDeco)
http://www.eyeplus2.com/service.html
失明の治療
http://www.nature.com/neuro/journal/v11/n6/abs/nn.2117.html
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18432197

 今回、貴重なお話をうかがって、とても勉強になり、刺激を受けました。ロービジョンケアだけに限りませんが、さまざまな機関や人が関わる場合、広い情報収集と、いろいろな視点から考えることの重要性を改めて感じました。ミクロにもマクロにも考えられるようになるために、日々努力してきたいと思います。

(西葛西・井上眼科病院 鈴木理子)

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第24回定例研究会
2009年1月28日(水)18:30〜20:20
井上眼科病院18階会議室
参加者23名

テーマ「わかりやすい説明を測定し、活用する」
有限会社アリスト 山田千夏

今回の講演内容は、調剤薬局における薬剤師さんによる服薬指導の「わかりにくい説明」の原因を解明するために行った利用者調査(ユーザビリティテスト)について、その検証の結果からどのように改善していったのかについて発表でした。
まず従来の説明の「わかりにくい説明」の原因として「最初に何について説明するかを言ってくれないと聞き流してしまう」「早口で聞き取れない」「説明が的確、かつコンパクトでないと理解しにくい」など利用者から指摘されたとのこと。
そして「ひとりになったときに、何度でも説明の要旨を回想できる説明」を目標に「わかりにくさ」を改善するため、ユニバーサルデザインの観点から、視覚的にも
わかりやすいイラスト入りの説明キッドを作成し、併せて説明者用のガイドラインを導入したそうです。このガイドラインを導入することで、薬剤師さん側も説明もれを防止することができ、説明を受けた側も理解度が上がり、服薬行為の徹底に結びついていったそうです。またわかりやすい説明することで、薬局を継続して利用するきっかけにもなり、利用者も増えたそうです。
 
臨床現場では、医療側が患者様に対し十分な説明行い、患者様がきちんと理解した上で、納得のいく診療を提供することが求められます。同じ説明内容であっても、一人ひとりの患者様の理解度・年齢・心理状態などに合わせた説明を心がけてはいますが、果たして「わかりやすい説明なのか」「きちんと理解されているのか」は説明する側から評価することは難しいことを改めて実感しました。
今回の調査でも、説明する側は従来の説明でもわかりやすいという意見もあったそうですが、薬局利用者側からすると、改善された説明のほうがわかりやすいと評価し、両者間での差があったとのこと。このことからも普段、言葉に出して伝えない思い、考えを知る上で利用者調査の重要性を再認識しました。
眼科には高齢者だけでなく、多くの視覚に障害を持つ人が来院されます。
一人ひとりの患者様に対して、自分はわかりやすい説明を行っているのか、患者様がどれだけ理解されているのかを意識し、また信頼関係に結びつくような心のこもった説明を心がけて行きたいと思います。
(井上眼科病院 視能訓練士 南雲 幹)

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担当:井上眼科病院内 担当 千葉マリ

私達は診療空間や屋内外の空間のユニバーサルデザインについて学び、研究・調査し、発信する、様々な職種による研究会です