第146回定例研究会
2023年 12月 7日
板橋区本庁舎北館5階会議室(ご説明の後、庁舎内を見学)
講師:板橋区職員様
所属:板橋区 福祉部 障がい政策課 ユニバーサルデザイン推進係
板橋区では、平成15年に「バリアフリー総合計画」を策定し、区内のバリアフリー化を進めてきました。
その後、社会・経済状況が成熟化する中で、従来のバリアフリーにとどまらず、子育て世代や外国人への対応など、幅広い取組を行う必要がありました。そこで、区は、平成29年に「ユニバーサルデザイン推進計画2025」を策定し、年齢、性別、国籍、個人の能力にかかわらず、すべての人にとってくらしやすい地域社会の実現をめざしています。
この計画では、区政のさまざまな分野の取組に、ハード・ソフトの両面からユニバーサルデザインの考え方を取り入れて、だれもができるだけ、同じ場や状況のもとで、自由に行動できるまちをつくるための各種事業を計画的に推進しています。
今回、現在区が取り組んでいる事業のうち、区民や区職員へのユニバーサルデザインの普及啓発や区施設のユニバーサルデザイン化に関する、活動内容や仕組みについて、お話しします。
また、見学会では、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れて整備した板橋区役所本庁舎の空間を体感していただきます。
第145回定例研究会
2023年 10月 5日
Web形式での開催(Zoom)
講師:黒坂昌彦 氏
所属:観察の樹
台湾はどこか日本と似ています。懐かしい街並み。明るくあたたかい人々。もちろん日本との違いも
多々あります。多民族であること、外食が多いこと、ボランティア意識が高いことなど。そんな中、
僕が一番関心を持ったのは台湾の「家と街並み」でした。老街、騎楼、鉄窓、タイルなど、
ワクワクしながら見て回りました。南国らしいおおらかな美しさに魅了される一方、素朴で飾らない
「家と街並み」は、日本人の感覚からすると少し使いづらく危ないようにも感じました。
この講演では、台湾の「家と街並み」の特徴をユニバーサルデザインの観点も交えて紹介します。
「良いね!」「ナイスアイデア!」と思う事例もあれば、「何これ?」と思わず笑ってしまう事例も
あるかもしれませんが、そういった振幅が台湾の魅力なのではないかと思っています。
そして最後に観察の樹について、「医療介護の見学を通じた日台交流」「オリジナル家具開発」
空間デザイン」など、近年の活動をご紹介いたします。
第144回定例研究会
2023年 8月 3日
Web形式での開催(Zoom)
講師:井上賢治 先生
医療法人社団済安堂 理事長、井上眼科病院 院長
「東京都ロービジョンケアネットワークの成り立ちと5年間のプロセス」
最初に「ロービジョンケアネットワーク」についてご説明させて頂きます。
「ロービジョンケア(以下、LVC))」とは、視覚障害で生活に支障を来している人に対する、
医療的な支援だけでなく、教育的、職業的、社会的、福祉的、心理的等すべての支援の総称で、
具体的には視覚補助具や生活支援の制度などに関する情報提供、助言などを行うことです。
次に「スマートサイト」ですが、主にLVC関連施設やLVCについての情報が記載された啓発用
パンフレットそのもの及び、それを眼科医が必要としている患者に提供することです。
従来からLVC関連施設やLVCについての情報はありましたが、それを確実に必要とする患者さんに
届ける手段がありませんでした。そこで眼科医がそれらのネットワークへの橋渡しを行う仕組みが「ロービジョンケアネットワーク」です。その東京版を立ち上げ運用し5年が経過したので、
その成り立ちとプロセスについてお話しします。
山岸直人 先生
東京都立文京盲学校 校長
「東京都ロービジョンケアネットワーク~ようこそ、教育機関へ!~」
東京都ロービジョンケアネットワークにおける福祉施設のカテゴリーの一つである「教育機関」には、
6校(国立1校、都立4校、私立1校)の盲学校等が加盟している。また、都内では小学校9校、
中学校3校において、弱視(ロービジョン)の児童・生徒を対象とする「通級による指導」
を実施している。
一般的に、視覚に障害がある小学生・中学生への教育の場としては、「視覚障害者を対象とする
特別支援学校(盲学校)」のほか、小学校・中学校における「特別支援学級」「通級による指導」や
「通常の学級での指導」がある。
このほか、多くの都道府県の盲学校では幼稚部を設置しており、在籍する幼児への教育のほか、
乳幼児及びその保護者を対象として定期的に教育相談を実施している。さらに、高等部には
専攻科なども設置しており、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の国家資格の取得を
目指して、幅広い年齢層の生徒が在籍している。
本時は、視覚に障害がある幼児・児童・生徒への教育の場について概説いたします。
第143回定例研究会
2023年 6月 1日
Web形式での開催(Zoom)
成松一郎 氏
読書工房 代表
障害者差別解消法や読書バリアフリー法の制定をきっかけに、「読書」や「情報」を軸にさまざまな立場
の人たち(ステークホルダー)が対立を乗り越え、どのようにむすんでいけばよいかという土台づくりが
模索されています。また、私が長く仕事をしてきた「出版」の分野(本の作り方・販売の仕方など)
においても大きな変革が求められていると考えています。
紙vsデジタル、出版社vs図書館、リアル書店vsネット書店、「障害者/非障害者」の線引きを求める動きなど、不毛な議論からそろそろ脱却して、多様な立場の人がほんとうに自分の求めるスタイルで、自由に読書したり、情報入手したりするための、合理的で適正なシステムを、みんなで考えていきたいと思っています。
第142回定例研究会
2023年 4月 27日
Web形式での開催(Zoom)
平塚千穂子 氏
バリアフリー映画鑑賞推進団体シティ・ライツ
シネマ・チュプキ・タバタ
2001年にボランティア団体シティ・ライツを立ちあげ、目の不自由な方々と共に、草の根的に歩んできた
映画鑑賞の環境づくりの道のり。その過程で気づいたこと、教わったこと。そして、ユニバーサルシアター「シネマ・チュプキ・タバタ」を開館してから現在までに、広がってきた様々な可能性について、お話したいと思います。ユニバーサル上映とは、「さまざまな人が、それぞれの鑑賞方法で、映画を観ることができ、
交流できるようにすること。」です。それは、さまざまな存在や感性が大切にされ 、映画で知るさまざまな出来事や人生、人のこころが、より細かく深く、多くの方々に感じられ、考えられていくということに通じます。それが当たり前になっている世界は、もっと自由で、きっともっと生きやすくなるはずです。
そんな世界へ皆様に映画を届けることを通じて、一歩一歩、近づけていきたいと思います。