2010年3月24日 第38回定例研究会開催報告

第38回研究会の様子.jpg第38回定例研究会開催報告

2010年3月24日(水)18:30〜20:00
井上眼科病院19階 第1ラウンジ
参加者 67 名

テーマ「見えなくても出来ること〜生活の工夫と知恵〜」
講師 金沢 真理氏
日本網膜色素変性症協会 会長
東京都盲人福祉協会で中途視覚障害者緊急生活訓練事業 主任
視覚障害リハビリテーション協会 元会長

自身も網膜色素変性症であり、周辺にまだらに残っている視野で動いているものや光っているものなどを感じる程度の見え方。その状態で視覚障害になられた都内在住の方の自宅を訪問し、歩行訓練、日常生活訓練、点字の指導などを日々行っている金沢さん。彼女の行っている訓練事業は東京都盲人福祉協会が東京都から委託されているものであり、自立支援法と関係ないため、利用するのに1割の自己負担がかからず、身障手帳取得や事前の判定などを必要とせず、希望すればすぐに訓練を受けられる。まさに緊急支援の最前線である。

人生の途中から視覚障害になったとき日常生活でまず困ることは「文字の読み・書き」だけではなく、外出時に安全に移動することや家の中で快適に暮らすために家事をどのように行うかなど生活に密着したものである。

それらを改善するための工夫は様々ある。金沢さんが紹介してくれたうちの一部を紹介すると、視線を有効に使って階段の段差を見つける方法、交差点で歩行者用信号を見つる目線の運び方、お財布の中の紙幣やコインを正確にすばやく見分ける方法、洋服の色を間違えないようにタグに目立たない印をつけるアイディア、押すと一定の量が出る調味料入れ、まな板と食材にコントラストをつけられる白黒のまな板、お裁縫の時に針穴に通さないでも糸が通る針。また最新の音声機能付きの家電の紹介や、ものしりトークの使い方等々。

視機能が低下して困っている人の相談にのるには、視力がいくつだから、文字を読むのに必要なルーペの倍率は何倍かという光学の知識だけではなく、どれだけたくさんのこういった「引き出し」を持っているかが大切なのだと、10年前にはじめて金沢さんの講演を聞いたときも衝撃をうけましたが、今回また改めて再認識し、初心を思い出しました。

今回、金沢さんが紹介して下さった視覚に障害がある人が利用している「マーク(目印)」「コントラスト」「音声」は、実は誰にとっても便利なものです。それらを限られた人のみが理解して利用するのではなく、みんながその利点を理解しているのが「当たり前」、利用するのが「普通」になれば良いと思いました。

最後になりましたが、金沢さんの今後益々のご活躍をお祈りいたしております。

(井上眼科病院 石井祐子)